本だけで速読をマスターされたら困る理由

私は、「速読」の講座を10年以上開催してきましたが、参加された方に毎回「なぜこの速読講座を受けようと思われたのですか?」と聞くと、多くの方が「速読の本を読んでも身に付かなかった」と仰るのです。「速読の本を読んでも速読は身に付かない」。それはなぜでしょうか

それは、「速読本で速読をマスターされたら困る」からです。

全部とは言いませんが、多くの速読本の著者は「速読を教えている人」です。様々な形で速読講座とか速読教室を行っている人が、そのノウハウの一部を「本」というかたちで出しているのです。速読教室も商売ですから、速読教室に生徒さんを集めなければいけません。しかし、本で完全にマスターすることができたら、速読教室に行く必要はありませんよね。

つまり、速読本を書いている著者が、その本だけで速読をマスターされてしまったら困る人なのです。なぜなら、著者が行っている速読教室にお客さんが来なくなってしまいますから。そのような人が書いている本で、速読がマスターできるでしょうか?

「本」は「パンフレット」

実は、この手の本というのはたくさんあります。特に「ビジネス書」にはこのパターンが比較的多く見らます。

例えば、著者が経営コンサルタントで何らかの経営ノウハウを持っている。そのノウハウの一部、あるいは表面的なことを本という形で読者に伝える。そして、その本を読んでさらに深く学びたい人向けにセミナーを行ったりコンサルティングを行ったりするのです。

あるいは、塾の経営者が勉強のノウハウを本で伝える。そして、そのノウハウに関心を持った生徒たちがその塾に入る。

つまり、本というのは「集客ツール」に使われていることが多いのです。「ブック・ブランド・マーケティング」などと言ったりもします。

もちろん、単に集客ツールであるだけでなく、内容的にも書籍として充分価値があるものがほとんどです。本を読むだけで相当な学びがある。ただ、不特定多数が読む本だとどうしても最大公約数的な内容になってしまうので、その本の読者一人一人の問題を解決するために、個別にコンサルティングを受けたりするということもあるでしょう。そういう意味では、「集客ツール」としてでも、書籍としての価値が充分ある本もたくさんあることは強く言っておかなければならないでしょう。

一方で、中には本当に「単なる集客ツール」でしかない本も実際にあるのです。とある勉強法の本を読んでいたら、「○○メソッドで志望校に合格した」というような事例が書かれているのですが、その肝心の「○○メソッド」については何も触れられていないのです。生徒の事例や、基本的な受験勉強に対する心構え的な内容。そして塾の紹介。これって、「パンフレットじゃないですか?」と思わずにはいられない本が、実際にあるのです。

速読本にも、残念ながらそのような「パンフレット本」があります。著者が、自身の速読教室の案内をするために書いた本。本当にパンフレットだけだとさすがにまずいので、速読の必要性とか、脳科学の話しとか、目の話しとか、専門家らしい内容を加えて、本としての形態を保っている。そのような本があるのが事実です。

ビジネスのからくり

このような、本命の商品なりサービスを紹介するために、最初に売る商品のことを「フロントエンド」と言います。マーケティングを勉強している人なら知っている方も多いのではないでしょうか。買いやすい価格の商品をまず提供し、それを買ってくれたお客さんに、本命の商品を案内する。これはごく基本的なマーケティングのノウハウです。ちなみに、この「本命の商品」のことを「バックエンド」と言います。

もちろん、この手法が悪いわけではありません。10万円20万円の価値があるものでも、いきなりその価格のものを「はい、売って下さい」と言う人はなかなかいない。そこで、まずは手にしやすい価格帯のものから販売し、その価値を理解してくれた人に紹介していくというのは、とてもスマートな販売方法だと思います。

良く通信販売で見かける「初回無料!」というのも、発想は同じですね。まずは無料で試して頂いて、効果を感じたら商品を購入して頂く。通信販売の広告費などが掛かりますが、商品のリピート販売や、他の商品、さらなる高額のバックエンド商品と販売していって、初期の広告費を回収するビジネスモデルです。

このようなビジネスのからくりを知っている事で、より賢い消費者になれるのではないでしょうか。そしてこのビジネスのからくりは、速読業界、さらにいうとセミナーやコンサルタント業界にも当てはまるのです。

速読を本だけでマスターしたいための本です

これまでの「速読本」を読んでも速読ができるようにならなかったのは、そのうな「速読講座に誘導するための本」だったからです。

そこで、その常識を覆すべく、「本だけで速読がマスターできる」ことを目的とした本を書きました。私が過去「1day速読講座」で行ってきた講座の内容を、ほぼ忠実に紙上に再現しています。

一部、どうやっても文章では再現できないトレーニングもあるのですが、それも可能な限り文章化しました。この本に書いてあるトレーニングメソッドをそのまま実行していただければ、必ず速読は身に着けることができます。

「渡辺式速読」に興味があるけど、レッスンを受けるのを迷っている方は、ぜひこの本で「渡辺式速読」を体験してみてください。

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