速読に関する本というのは多く出ていますし、教材や講座なども様々なものがあります。中には見開き1ページをほんの数秒で読めてしまうようなことを謳ったものもありますが、本当に速く読めるのでしょうか?

私自身、かつて某有名速読講座に参加しましたが、結局身に付きませんでした。

 

ものすごいスピードで読む速読ができない理由は簡単です。「不可能なことをやろうとするから」です。

考えてみて下さい。

  • 100メートルを3秒で走る
  • 3日間の練習でショパンの「幻想即興曲」を引けるようになる
  • 料理の初心者が3分でアジをさばく

これらが「不可能」なことは言うまでもありませんね。

1ページを数秒で読んでしまう速読術も、同じようなものだと思ってください。

もちろん、人間の潜在能力がとてつもないものであることは承知していますし、人によってはトレーニングしだいで1ページを2~3秒で読むことができるということを頭から否定するものではありませんが、普通の人間がちょっとやそっとのトレーニングでできるものではありません。

速読の誤解

もし、下記のような表現に心当たりがあったら、その方法ではなかなか速読は身につきません。

【速読の誤解1】右脳を活用して写真のようにページ全体を写し取る。
【速読の誤解2】目を高速で動かす。
【速読の誤解3】頭の中で文章を読み上げないようにする。

速読の誤解1右脳を活用して写真のようにページ全体を写し取る。

良く見かける速読術ですね。見開き1ページを1秒ぐらいで次々とめくっていき、右脳を活性化させてページに書かれている情報を写真のようにとらえる、というようなものです。

脳科学や認知心理学などの学術用語などを用いて説明されていますが、結論から言ってこの手の速読術を目指すのは時間と労力の無駄です。

もちろん、このような速読術ができる人がいることは否定しません。芸術的な能力の高い人などもともと右脳が優れている方であれば、文字を見た瞬間にイメージ力で理解できることは実際にあるようですが、私も含めて大多数の人間にできる読み方ではありません。

たとえば、ピアノの初心者がいきなり複雑な和音の曲を両手で弾くことに挑戦するようなものと言えば分かりやすいでしょうか。初心者が目指すべきのは、まずは右手でメロディーラインを弾くこと、そしてそのスピードを速くすることです。これなら少しトレーニングすればだれでも弾けるようになりますよね。

速読の誤解2目を高速で動かす。

これも良く速読術のトレーニングでみかけるものです。

確かに、速読をする上で目を速く動かすことができれば、有利ではあります。しかし、目を速く動かせることと速く読めることはイコールではありません。

目をどんなに高速に動かすことができても、それでは文字の上を視点が滑るだけで文書を理解するまでにはならないのです。

文章を理解するために一番大切なことは、「文字を見ること」です。あまりにも高速で目を動かすと、それがとても雑になるのです。

さらに言うと、本を読むのが速い人は、目の動きが小さくなります。必要最小限の目の動きで文字を読み取れるようになるので、楽に本が読めるのです。ですので、そもそも目のトレーニングは不要です。

眼球を大きく速く動かすためのトレーニング、本を読むための準備運動としてやるにはいいと思いますが、それだけに時間と費用を費やすのはまったくナンセンスです。

速読の誤解3頭の中で文章を読み上げないようにする。

ほとんどすべての速読術で当たり前のように「頭の中で読みあげない(黙読しない)」と言われています。「私たちには黙読する癖があるのです。速読するためには、まずはこの癖を無くす必要があります」というのですね。

しかし、断言します。黙読をせずに文章を理解することは、普通の人には極めて難しい。

ごく簡単な自己啓発書や自分が良く知っている分野の本であれば、出来ないことはありません。私もできます。なぜなら、すでに多くの言葉や概念を知っており、パッと見た瞬間に意味が理解できるからです。

しかし、それらはもう自分にとっては読む必要のない本であり、知らない分野の本や少し難しい本になったら、黙読せずに理解するこなど到底できません。

中には本当にこのような読み方ができる人はいると思いますし、そういう方が速読術の本を書いているのだと思いますが、これはきわめて特殊な能力です。

例えば、表現が適切かどうかはわかりませんが、私の知り合いに生まれつき耳が聞こえない人がいます。その人はもちろん文字の音を知らないので「頭の中で文章を読み上げる」ことができないのですが、読むスピードがとても速いのです。私たちとはまったく違う能力を使って読んでいるのでしょう。

無理のない”渡辺式”「やさしい速読」

“渡辺式”「やさしい速読」では、「黙読」を大切にしています。「黙読できないようなスピードで読む」のではなく、「黙読できるスピードを上げていく」ことにこだわってるのです。黙読をしても、読みやすいレイアウトの本(1行40文字、1ページ17行程度)であれば、1ページ10秒から15秒で読むことはできます。単純計算で1分間で4ページ、60分で200ページ以上になります。

別の数字を言うと、一般的な社会人の読書スピードは、読みやすいビジネス書などの文章で1分間あたり500文字~700文字程度ですが、それを2000~3000文字にするというレベルです。このぐらいまでは、黙読しても十分対応可能です。

ただし、これぐらいのスピードが限界なのも確かです。これ以上のスピードで読もうとするととても「黙読」はできなくなるので、ここで初めて「黙読をしない」という読み方が必要になるのですが、そこまで速く読む必要、本当にありますか?

現実的で即実践可能な「やさしい速読術」。目指すスピードは、あくまでも1分間2000~最高3000文字、標準的な難易度の200ページの本を1時間。

これで充分だという方、ぜひオンラインレッスンにご参加下さい。1回のレッスンで2000文字は難しいですが、レッスンでお伝えする「読みたい本を読めば読むほど読むスピードが上がる」オリジナルのメソッドで、すぐに2000文字以上のスピードで読めるようになります。

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