読書スピードが上がっても、「本当に伝えたいこと」が読めなければ意味がありません。この記事では、文章の構造をつかんだ次のステップとして、「筆者の意図」「背景の価値観」「行間の含意」を読み取る「読解力」の鍛え方を解説します。日常の読書にすぐ活かせる実践的な方法を学びましょう。

読解力とは何か?速読との違いと関係

読解力とは「見えないものを読み取る力」

読解力というと、学校でのテスト対策を思い浮かべる人もいるかもしれません。でも、私たちが日常で求められる読解力とは、もっと生きたスキルです。たとえば、誰かの発言の裏にある意図を読み取る。メールの文面から感情の機微を感じ取る。そんな「行間を読む力」が、まさに読解力なのです。

速く読むだけでは足りない理由

速読だけで満足してしまうと、重要な要素が抜け落ちます。速く読めても、「なぜこの話をしているのか?」「何を伝えたいのか?」がつかめなければ、行動につながる読書にはなりません。読解力が加わることで、速読の成果は何倍にもなるのです。

読解力を高める読み方

STEP1
筆者の『意図』を探る

問い・目的・立場に注目する

文章の背後には、かならず「書いた理由」があります。たとえば、「読書術の本」なら、「読者にどんな変化を与えたいのか?」を考えながら読むだけでも、視点がまるで変わってきます。

  • 筆者はどんな問題意識を持っている?
  • どんな行動を読者に促したい?
  • どんな前提を共有している?

こうした「問い」を持って読むことが、読解の入口になります。

ChatGPTで意図を要約するプロンプト例

読書中に「筆者の意図がよくわからない」と感じたら、ChatGPTの出番です。たとえば以下のように入力してみましょう。

“この文章を読んで、筆者が一番伝えたいことを1~2文で要約してください。
どんな問題意識が背景にあるかも教えてください”

これにより、自分の読みとAIの読みを比較し、観察力を育てることができます。

STEP2
背景にある『価値観』や『前提』を読み取る

文章の前提をどう読み取るか

文章には、「書かれていない前提」がたくさん含まれています。たとえば、

  • 資本主義は当然の前提として話が進んでいる
  • 読書が重要という価値観が共有されている

こうした前提に気づけるかどうかで、文章の読み方は大きく変わります。読書中に「あれ、なんでそう言い切れるんだろう?」と感じたとき、それは前提に気づくチャンスです。

ChatGPTで筆者の立場や背景を分析する

“この著者が前提としている価値観や立場を教えてください。
読者に何を当然と考えているか、暗黙の了解があれば示してください”

こうしたプロンプトを使えば、自分だけでは気づけなかった「視点の偏り」や「文化的背景」にもアクセスできます。

STEP3
『行間』を読む力を育てる

比喩・皮肉・暗示を読み取るコツ

行間とは、「書かれていないけど伝わること」。たとえば、

  • 皮肉:「それは素晴らしいご提案ですね(棒読み)」
  • 比喩:「この制度はまるで穴の開いたバケツのようだ」

こういった表現を、文字どおりに受け取ってしまうと、筆者の真意が見えなくなります。「この表現にはどんな感情がこもっているか?」という視点を持つだけで、文章の奥行きがぐっと増します。

ChatGPTで含意を探る活用例

“この一文には、どんな含意や暗示があると考えられますか?
表現に込められた筆者の感情を推測してください”

読書に慣れていないうちは、AIとの「読解ディスカッション」が大きな助けになります。

読解につまずく原因と対処法

全部理解しようとする完璧主義

読書初心者に多いのが、「全部を理解しないといけない」という思い込み。でも、実際の読書では「何を読み取ったか」が大切です。まずは筆者の主張や意図、気になった表現などを拾うだけでOKです。

感情移入しすぎて筆者の意図を見失う

共感することは大事ですが、感情に引っ張られすぎると、筆者の本当の意図が見えなくなることもあります。一歩引いて、客観的な読みも心がけましょう。

習慣化のコツ|『意図・前提・行間』を記録に残す

3ステップ読書ジャーナルのすすめ

読書のあと、次の3つを書き出すだけで読解力は確実に上がります。

  1. 筆者の意図(なぜこの本を書いたか?)
  2. 前提(どんな価値観が前提になっているか?)
  3. 行間(含意・裏メッセージ・比喩など)

この3点を意識しながら読み、記録する習慣をつけましょう。

ChatGPTで読後対話をする方法

読み終えたら、次のようにChatGPTと対話してみてください。

“この本の核心はどこにあったと思いますか?
私はこう感じたけど、別の視点はありますか?”

AIとの「読みの照らし合わせ」は、自己理解と客観的視点をバランスよく育ててくれます。

次のステップ:『普段の読書術』へ

ここまでで、速く読む力・構造をつかむ力・意味を読む力の3つがそろいました。

次はいよいよ、これらを統合して「好きな本を読みながら自然と速読力が育つ日常読書術」に進みます。構えて読むのではなく、楽しみながら深く読む。そんな“ふだんの読書”こそが、最も効果的なトレーニングになります。

▶ 次のページ:「好きな本を読むだけで読むスピードが自然に速くなる、『普段の読書術』」へ進む

よくあるご質問(FAQ)

Q: 読解力を高めるには、毎日の読書でどんなことを意識すればいいですか?

A: 読解力を育てるには、読むたびに「筆者の意図」「背景の前提」「行間の含意」の3点に注目するのが効果的です。
特に、読後にそれらを一言で書き出す「3ステップ読書ジャーナル」は、記憶への定着と気づきの深まりを促します。

  • 【意図】なぜこの文章が書かれたのか?
  • 【前提】どんな価値観が背景にあるのか?
  • 【行間】直接書かれていない、比喩や含意は何か?

読書のたびにこのフレームで振り返ることで、思考が深まり、行動につながる読書ができるようになります。

Q: ChatGPTで読解力を鍛えるには、どんな使い方が効果的ですか?

A.読んだ後にChatGPTと「対話」するのがおすすめです。
たとえば次のようなプロンプトが効果的です:

  • 「この章の筆者の意図を1文で要約してください」
  • 「どんな価値観が前提になっていますか?」
  • 「この一文に込められた感情や比喩を分析してください」

AIと読み比べをすることで、自分の読解のクセや視点の違いに気づけ、学びが一層深まります

Q: 読解力とは何ですか?速読との違いは?

A読解力とは、文章に込められた筆者の意図や価値観、行間の意味を読み取る力のことです。
一方、速読は「読むスピード」に注目したスキル。両者は対立するものではなく、速読で構造をつかみ、読解力で深く意味をとらえることで、実践的な読書力が育ちます。

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