なぜ読書ノートを書いても、内容を思い出せないのか?
「ちゃんと読んだはずなのに、何が書いてあったか思い出せない」
「ノートまで取ったのに、結局身についている気がしない」
こうした悩みを持っている人は、決して少なくありません。そして多くの場合、その人はとても真面目です。本を買い、時間をつくり、線を引き、ノートにまとめる。それでも手応えがない。
ここで大切なのは、あなたの努力が足りないわけではないということです。問題は、やり方ではなく「考え方」にあります。
読書ノートが記憶に残らない最大の理由は、ノートが「理解の証明」や「記録」になってしまっていることです。書いた瞬間は分かった気がする。でも、それは“思い出せる”とは別物なのです。
写すだけのノートが記憶に残らない、本当の理由
多くの人がやってしまうのが、「写すノート」です。本を開いたまま、気になった文章を書き写す。大事そうなところを丁寧に整理する。キーワードをマインドマップに落とし込む。
この方法が悪いわけではありません。
ただし、記憶にはほとんど残りません。
なぜなら、そこに「思考」が介在していないからです。目で見たものを、そのまま手に移しているだけ。脳はほとんど働いていません。
人は、考えたこと、迷ったこと、言葉にしようとして詰まったことなどを記憶します。つまり、「インプットではなくアウトプットの時に記憶に定着する」のです。
「きれいにまとめたノート」ほど、思い出せないのは、「ノートをまとめることがアウトプット」だと思っているからです。本の内容をまとめる作業はあくまでもインプットの延長にすぎません。
では、記憶に残るノートとは何か。それは、「情報を圧縮した痕跡」が残っているノートです。圧縮とは、削ぎ落とすこと。
すべてを書くのではなく、選ぶこと。「結局、何が言いたいのか?」を考えること。
この作業は、楽ではありません。一瞬、頭が止まります。言葉が出てこないこともあります。でも、その瞬間こそが記憶が動いている証拠なのです。
まとめが苦手な人のためのノート術|「節を一言でまとめる」方法
ここで、私が特に初心者の方におすすめしている方法を紹介します。それは、本全体をまとめようとしないことです。代わりに、「節」を一言でまとめるのです。
章ではありません。
本全体でもありません。
節です。
やり方はとてもシンプルです。1つの節を読み終えたら、こう自分に問いかけます。
「この節を一言で言うなら、何だろう?」
見出しを作るような感覚で構いません。完璧な言葉でなくていい。短くていい。自分なりでいい。この「一言」が、その節の要約になります。
節ごとに一言が並んでいくと、あとからそれを眺めるだけで、内容が自然に思い出せるようになります。
なぜ「一言でまとめる」と、あとから自然に思い出せるのか?
一言でまとめるという行為には、3つの要素が含まれています。
- 思い出そうとする
- 重要な情報を選ぶ
- 自分の言葉に変換する
これらはすべて、記憶を強くする行為です。しかも、「節」という小さな単位なので、負荷が少ない。失敗しにくい。
「できた」という感覚が残る。
ノートが続かない人の多くは、最初からハードルを上げすぎているだけなのです。
さらに、節の一言見出しが並ぶと、あとから章全体の流れが見えてきます。
「この章は、こういう話だったな」
「ここで言いたかったのは、これだな」
無理に章をまとめなくても、構造はあとから立ち上がるのです。これが、「まとめるのが苦手な人ほど、節から始めた方がいい」理由です。
記憶に残るノートは、行動につながって初めて完成する
最後に大切なことを一つ。
ノートは、記憶に残ればそれで終わりではありません。本当の意味で価値を持つのは、行動につながったときです。
節を一言でまとめたあと、こう問いかけてみてください。
「この一言から、何を試せるだろう?」
小さくて構いません。完璧でなくていい。ノートが、未来の行動への橋渡しになったとき、読書は「消費」ではなく「積み重ね」に変わります。
「まとめられない自分」を責める前に、読書そのものを見直してみませんか?
ここまで読んで、「ノートが続かなかった理由が、少し分かった気がする」と感じたなら、それは大切なサインです。多くの人は、ノートや要約のテクニック以前に、読書そのものがどこでつまずいているのかを整理しないまま、頑張り続けてしまいます。
実は、読書が身につかない背景には、共通する“7つの壁”があります。入口で止まり、理解でつまずき、記憶に残らず、行動につながらない。ノートが苦しかったのも、その途中で無理をしていたからかもしれません。
「7つの壁から学ぶ〈読書再設計〉」 では、あなたが今どの壁に立っているのかを整理し、「どこから立て直せばいいのか」を静かに見直していきます。
やり方を増やす前に、読書の設計そのものを整える。その一歩として、まずは無料で受け取ってみてください。
本を読んでまとめたことを、どのように成果につなげるのか?
ここまでのページでは、「なぜ読書やノートが記憶に残らないのか」「どうすれば無理なく自分の言葉で整理できるのか」を見てきました。では次に気になってくるのは、「その読書を、どう仕事の成果につなげるか?」という点ではないでしょうか。
実は、仕事で安定して成果を出している人ほど、読書に対してとても現実的です。最初からすべてを理解しようとはせず、目的をはっきりさせ、全体構造を押さえ、必要な部分だけを深く読み、そして必ず行動に落とします。これは才能やセンスではなく、再現可能な“読み方の型”です。
次のページでは、トップ5%のビジネスパーソンが実践している「仕事に直結する読書の考え方」と「成果に変わる読み方のプロセス」を、具体的に解説します。学びを“いい話”で終わらせず、結果に変えたい方は、ぜひ続けて読んでみてください。
👉【次のステップへ】 仕事に活かす読書術~「洞察→実践→検証」で成果を出す読み方
よくあるご質問(FAQ)
A:多くの場合、ノートが「本を見ながら写す作業」になっているからです。写すだけだと脳が意味を再構成せず、理解した気にはなっても“思い出せる記憶”になりにくい傾向があります。記憶に残すには、本を閉じて「思い出しながら自分の言葉でまとめ直す」工程が有効です。
A:節を読み終えたら本を閉じて、「この節を一言で言うなら?」と自分に問い、見出しを作るつもりで短い一文を書きます。完璧な要約ではなく“自分が理解した核心”を一言に圧縮することがポイントです。節の一言見出しが並ぶと、後から章の流れも自然に見えやすくなります。
A:最初からきれいな文章にする必要はありません。まずは「この節は結局〇〇の話」といったラフな言い方でOKです。言葉が出ないときは「何が一番大事だった?」「結論は?」「例にするなら?」と質問を変えると出てきやすくなります。詰まる時間そのものが、記憶が定着する“圧縮作業”になっています。
A:どちらでも構いません。重要なのは形式よりも「本を閉じて思い出しながら一言でまとめる」ことです。手書きは集中しやすく、デジタルは検索や整理がしやすいなど利点が違うので、続けやすい方を選ぶのが最適です。
A:ノートの最後に「この一言を読んで自分は何を試す?」という問いを置くのがおすすめです。記憶の整理で終わらせず、次の一歩(小さな実験)まで落とすと、読書が現実の成果につながりやすくなります。
著者プロフィール

渡辺篤志:「株式会社いろどり」代表 「速読研究会」主宰
100冊以上の速読術・読書術・勉強法を学び、「これなら誰にでも習得できる」という独自のトレーニングメソッドを作り上げ、10年以上に渡り2000名以上に指導。著書に「身につく速読、身につかない速読 ~1冊1時間を目指す、挫折知らずの現実的速読トレーニング~」がある。
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