なぜ「目的を決めずに読む」と、本の内容はほとんど忘れてしまうのか?
「せっかく本を読んだのに、何が書いてあったか思い出せない」そんな経験は、多くの人にあるはずです。
ですが、これはあなたの記憶力が悪いからでも、集中力が足りないからでもありません。実は、本を読む前の“構え”そのものに原因があります。
人の脳は、すべての情報を平等に保存するようにはできていません。「今の自分にとって必要かどうか」を無意識のうちに判断し、重要だと判断したものだけを残します。
ところが、「なんとなく良さそうだから」「おすすめされていたから」という曖昧な理由で本を開くと、脳はこう判断します。「これは今すぐ使う情報ではなさそうだ」
結果として、読み終えたそばから内容が抜け落ちていく。これは、とても自然なことなのです。
読書の成果は「速さ」ではなく「目的」で決まる:目的別読書術の基本
多くの人は、読書の成果を「どれだけ速く読めるか」「何冊読んだか」で測ろうとします。しかし、本当に大切なのはそこではありません。
同じ1冊を読んでも、
- 不安を抱えているとき
- 仕事で成果を出したいとき
- 将来に迷っているとき
では、必要な情報も、引っかかる言葉も、残る記憶もまったく違います。
つまり、読書の成果は「どんな目的で読むか」によって、ほぼ決まってしまうのです。この前提に立って読書を捉え直すのが、「目的別読書術」です。
同心円を描くように本を読むとは?:目的別読書を整理する新しいフレーム
私が提案しているのが、「同心円を描くように本を読む」という考え方です。読書の目的は、次の4つの層に分けることができます。
- 自分の核を作る(価値観・不安・問い)
- 専門性を高める(仕事・資格・分野)
- スキルを磨く(やり方・ノウハウ)
- 知識・教養を広める(社会・世界)
これらはバラバラに存在しているのではなく、中心から外側へと広がる同心円のような関係にあります。重要なのは、「どれが正しいか」ではなく、「今の自分は、どの円を読もうとしているのか」を自覚することです。
まず確認しよう|今のあなたは、どんな目的で本を読もうとしているか?
ここで、少し立ち止まって考えてみてください。あなたが今、本を読みたいと思っている背景には、次のうちどれが一番近いでしょうか。
- なんとなく不安で、気持ちを整理したい
- 仕事で結果を出したい、評価を上げたい
- 将来の方向性が見えず、ヒントがほしい
- 具体的なスキルを身につけたい
- 世界の動きや教養を理解したい
この「気持ち」こそが、読書の出発点です。ここを曖昧にしたまま読むと、どんな名著でも力を発揮しません。
【同心円①】不安を減らし、自分の軸をつくるための読書術
自己啓発書、哲学書、自伝、小説。これらを読む目的は、答えを得ることではありません。大切なのは、「どんな気づきがあったか」「どこが引っかかったか」です。
一文だけで構いません。読んでいて、なぜか心に残った言葉を拾ってみてください。そして、こう問いかけます。「なぜ、今の自分はここに反応したのか?」
この問いを持つことで、読書は「情報収集」から自己理解の時間へと変わります。
【同心円②】専門性を高め、仕事や資格に活かすための読書術
専門書や資格書を、最初から最後まで完璧に理解しようとすると、ほとんどの人は挫折します。ここでの目的は、「専門分野の地図を頭の中につくること」です。
すべてを覚える必要はありません。重要なのは、
- 全体像
- 重要な用語
- 自分の仕事とつながる部分
を把握すること。
「人に説明できるか?」という視点で読むと、理解の質が一段階上がります。
【同心円③】スキルを身につけ、行動につなげるための読書術
ビジネス書やノウハウ書でありがちな失敗は、「なるほど」で終わってしまうことです。ここでのゴールは、ただ一つ。
行動が一つ決まること
メモは最小限で構いません。代わりに、こう考えてください。
- 明日、何を変えるか
- 次の一回で、何を試すか
読書は、行動が起きて初めて完了します。
【同心円④】視野を広げ、社会や世界を理解するための読書術
教養書や社会情勢の本は、「役に立たないのでは」と感じる人も多いでしょう。しかし、この読書の目的は即効性ではありません。
- 物事を一面的に見なくなる
- ニュースに振り回されなくなる
- 長期的な視点が持てる
こうした変化は、あとから効いてきます。
点で理解しようとせず、「これは何とつながっているのか?」という視点で読むことが大切です。
同じ本でも読み方は変わる:目的が変わると「読むアルゴリズム」はどう変わる?
同じ本を、
- 自己理解のために読むのか
- 仕事の成果のために読むのか
によって、
- 注目する箇所
- 読む順番
- メモの仕方
はまったく変わります。
読書は感覚的なものではなく、目的に応じて設計できる行為なのです。
目的は、固定する必要はありません。人生のフェーズによって変わって当然です。大切なのは、「今はどの円を読んでいるか」を自覚すること。
それだけで、読書は迷いの原因ではなく、人生を整理するツールになります。
まとめ|「どう読むか」より先に、「なぜ読むか」を決めよう
読書で人生が変わらない理由は、能力や努力の問題ではありません。「なぜ読むのか」が曖昧なまま読んでいるだけなのです。
目的が決まれば、読むべき本も、読み方も、自然と定まります。そしてその先に、「速く・楽に読む技術」が加わったとき、
読書は本当の意味であなたの力になります。
速く・楽に読めるようになると、目的別読書は“本当に機能し始める”
ここまで読んで、「読書は目的で決まる」ということは、きっと腑に落ちたはずです。あとは、その目的に向かって無理なく読み続けられる土台を整えるだけです。
実は、目的別読書が続かない大きな理由は、読むこと自体が、知らないうちに疲れる読み方になっているからです。
もし、
・文字をもっと楽に捉えられて
・目の動きにムダがなくなり
・内容が自然に頭に入るようになったら
同じ30分の読書でも、得られるものはまったく変わります。
そこで、速読研究会では、特別な才能や訓練を必要としない「本を速く・楽に読むための3つのポイント」を、無料で公開しています。
目的が定まった今だからこそ、この3つのポイントは、あなたの読書を一段軽く、深いものにしてくれるはずです。
読んだだけで終わらせない:「行動につながる読書術」という次のステップへ
ここまでで、目的を決めて読むことが、読書の質を大きく変えることは見えてきたはずです。けれど、もう一段先があります。それは、読んだことを、現実の行動にまで落とすことです。
どれだけ心に刺さる言葉に出会っても、「なるほど」で終わってしまえば、人生は1ミリも動きません。読書の価値が本当に立ち上がるのは、行動が起きた瞬間です。
次のページでは、私が「行動読書」と呼んでいる、読書を実践に変えるためのシンプルな3ステップを紹介します。
- 読んだ内容を“1行”でまとめる
- 今日できる“ひとつの行動”を決める
- 実行した結果を“1行”で記録する
行動は、大きくなくて構いません。大切なのは、本を“頭の中の知識”で終わらせず、“現実の出来事”に変える姿勢です。
「読書はしている。でも、行動が変わらない」もしそう感じているなら、次のページがその転換点になります。
👉【次のステップへ】「行動につながる読書術:読んだことを実践に変える“行動読書”の方法」へ進む(準備中)
よくあるご質問(FAQ)
A:目的を決めると、読む前から「どの情報が重要か」を脳が選別できるようになります。その結果、印象に残るポイントが明確になり、理解・記憶・行動への変換が起きやすくなります。
A:まずは「今の気持ち」を手がかりにします。例えば「不安を減らしたい」「仕事で成果を出したい」「将来が見えない」など、感情の入口から目的を仮決めすると、読むべき部分が自然に絞れます。
A:読書目的を「自分の核」「専門性」「スキル」「知識教養」の4層(同心円)で整理し、目的に応じて“読む順番・注目点・メモの取り方”を切り替える方法です。目的が変われば、読むアルゴリズムも変わります。
A:例えば「スキル習得」が目的なら“明日できる行動”を探しながら読みます。一方「自己理解」が目的なら“心が反応した一文”を拾い、問いとして残します。目的が違うと、読む深さ・見る場所・アウトプットが変わります。
A:目的を完璧に固定しようとせず、「今はどの同心円を読んでいるか」を都度確認するのがコツです。目的が仮でも、毎回“持ち帰るものを1つ”決めるだけで、読書が散らからず継続しやすくなります。
著者プロフィール

渡辺篤志:「株式会社いろどり」代表 「速読研究会」主宰
100冊以上の速読術・読書術・勉強法を学び、「これなら誰にでも習得できる」という独自のトレーニングメソッドを作り上げ、10年以上に渡り2000名以上に指導。著書に「身につく速読、身につかない速読 ~1冊1時間を目指す、挫折知らずの現実的速読トレーニング~」がある。
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