なぜ「一生懸命読んでいるのに理解できない」のか?
「ちゃんと読んでいるはずなのに、内容が頭に残らない」
「読書量は増えているのに、手応えがない」
もし、あなたがそんな違和感を抱えているなら、それは能力や集中力の問題ではありません。多くの場合、原因はもっとシンプルです。
それは、すべての本を、すべて同じ読み方で読もうとしていること。
学校教育や資格勉強の影響もあり、私たちは無意識のうちに「読む=最初から最後まで、同じ調子で丁寧に読むもの」と思い込んでいます。
しかし実際には、読書には目的があり、その目的によって「適した読み方」はまったく違います。この前提が抜け落ちたまま努力を続けると、どれだけ時間をかけても「理解している実感」が持てなくなってしまうのです。
読書には3つの読み方がある|スキミング・スキャニング・熟読
効率よく理解する読書を実現するために、まず知っておきたいのが、読書には役割の違う3つの読み方があるということです。(実際には様々な読み方があるのですが、分かりやすく大きく分けて3つとします)
それが、
- スキミング
- スキャニング
- 熟読
です。
これらは「速読テクニックの種類」ではありません。理解を支えるための役割分担だと考えてください。この3つを意識的に使い分けられるようになると、「どこを、どのくらいの深さで読めばいいのか」が自然と見えてきます。
スキミングとは?熟読の質を高めるための「準備の読み」
スキミングとは、文章を細部まで追うのではなく、全体の構造や流れをつかむための読み方です。目次、見出し、太字、冒頭とまとめ。こうした部分を中心に目を通し、「この本(この章)は、何について書かれているのか」を把握することが目的です。
スキミングは「流し読み」ではありません。むしろ、後の熟読の質を高めるための準備運動です。
いきなり熟読に入ると、「今、自分はどこを読んでいるのか」「この話は全体の中で何を意味しているのか」が分からなくなり、理解に余計なエネルギーを使ってしまいます。
最初に全体像をつかむ。それだけで、後の読書は驚くほど楽になります。
スキャニングとは?熟読する場所を見極めるための読み方
スキャニングは、必要な情報を探し出すための読み方です。
たとえば、
- この章の結論はどこに書いてあるか
- 今の自分に必要な説明はどの部分か
- 数字や具体例はどこにあるか
こうしたポイントを意識しながら、文章の中を「探すように」読んでいきます。
スキャニングの役割は明確です。熟読すべき場所を見極めること。すべてを同じ熱量で熟読しようとすると、集中力も時間もいくらあっても足りません。
スキャニングによって
「ここは深く読む価値がある」
「ここは概要だけで十分」
という判断ができるようになると、読書は一気に現実的なものになります。
熟読とは?理解度を保ったまま読むための“核となる読み方”
熟読とは、文章の意味、背景、論理の流れを丁寧に追いながら、理解を深めていく読み方です。速読研究会では、この熟読こそが読書の中心であり、速読のゴールだと考えています。
よくある誤解に、「速く読むためには、熟読をやめなければならない」というものがあります。しかし実際には逆です。熟読ができない人は、速く読むこともできません。
理解が浅いままスピードだけを上げても、内容は頭に残らず、結局読み直すことになります。それでは意味がありません。
だからこそ、「理解度を保ったまま読む」この視点が何より重要になるのです。
スキミングとスキャニングがあるから、熟読のスピードを無理なく高めていける
速読とは、ただ速く目を動かして文字を追っていくことではありません。熟読の理解度を保ったまま、そのスピードを少しずつ高めていくことです。
スキミングとスキャニングは、熟読を“省略する”ためのものではありません。熟読を支えるための土台です。読む前に全体像をつかみ、読むべき場所を見極めているからこそ、熟読の場面で迷いがなくなり、結果としてスピードも自然に上がっていきます。
大切なのは、3つの読み方をどう使い分けるか?ということです。基本となる流れは、とてもシンプルです。
- スキミングで全体像をつかむ
- スキャニングで読むべき場所を決める
- 必要な部分を熟読する
この流れを守るだけで、読書の負担は大きく変わります。資格勉強でも、ビジネス書でも、この基本は変わりません。「今はどの段階の読み方をしているのか」を意識するだけで、読書は整理されていきます。
熟読がつらく感じる最大の理由は、最初から最後まで、全部を熟読しようとすることです。それは能力不足ではありません。単に、やり方が合っていないだけです。
本来、熟読は「ここだ」と決めた場所で行うもの。そこに集中できるからこそ、理解も深まり、スピードも育っていきます。
もちろん、難解な哲学書など、最初からじっくり熟読しなければいけない本もたくさんあります。その場合でも、まずはスキミング・スキャニングの技術を使って全体像を把握しておくことで、理解しやすくなります。
速く読むためにこそ、熟読が大切
著者は、これまで10年以上に渡って速読や読書術、勉強法などを研究してきました。その中で確信しているのは、速く読みしっかり理解するためにこそ、熟読が大切ということです。
速く、楽に読むために必要なのは「速さを求めること」ではありません。無理にスピードを上げようとせず、「この理解度のまま、もう少し楽に読めないか」と問い続けることで、結果的に速く、楽に読めるようになっていきます。
速読は、筋トレとよく似ています。いきなり重い負荷をかければ、体を痛めてしまいます。しかし、少しずつ負荷を上げていけば、気づいたときには自然に力がついています。
読書も同じです。熟読を大切にしながら、同じ理解度で読めるスピードを、少しずつ上げていく。この積み重ねが、「速く、楽に読む」力を育てます。
本を速く、楽に読むための「3つのポイント」を体感してみてください
ここまで読んでいただき、「考え方は分かった。でも、どうやって身につければいいのか?」そう感じているかもしれません。
速読は、頭で理解するだけでは身につきません。体感しながら整えていく必要があります。
そこで、速読研究会では「本を速く、楽に読むための3つのポイント」を無料で体験できるコンテンツを用意しています。理解度を保ったまま読む感覚を、ぜひ一度、体で感じてみてください。それが、「やさしい速読」への最初の一歩になります。
次は「何のために読むのか?」をはっきりさせよう
目的別で選ぶ読書術:「同心円を描くように本を読む」
ここまでで、「速く読むこと」よりも大切なのは、理解度を保ったまま読むこと、そして読み方を使い分けることだと感じていただけたと思います。
ただ、もう一つ、とても重要な視点があります。それが「あなたは、どんな目的でその本を読んでいるのか?」という問いです。
不安を減らしたいのか。
仕事で成果を出したいのか。
将来の方向性を見つけたいのか。
新しいスキルを身につけたいのか。
それとも、社会や世界の流れを理解したいのか。
実は、この“目的”が曖昧なまま本を読むと、どんなに丁寧に読んでも内容は驚くほど残りません。逆に、「今日はこれを学ぶ」と決めて読むだけで、理解も記憶も大きく変わります。
次のページでは、著者が提唱する「同心円を描くように本を読む」読書術を紹介します。自分の核をつくる読書、専門性を高める読書、スキルを手に入れる読書、知識教養を広げる読書…目的によって、読む順番も、深さも、力の入れ方も変わるという考え方です。
「どう読むか」の次は、「何のために読むのか」へ。あなたの読書が、より意味のあるものに変わる視点を、ぜひ次のページで確認してください。
👉【次のステップへ】「目的別で選ぶ読書術:「同心円を描くように本を読む」へ進む
よくあるご質問(FAQ)
A:どれが一番、ではなく「目的に応じて使い分けること」が最も重要です。全体像をつかむならスキミング、必要情報を探すならスキャニング、理解を深めて使える状態にするなら熟読が役割を担います。
A:いいえ。飛ばし読みではありません。理解度を保ったまま熟読できる速度を、少しずつ無理なく高めていくことを指します。速さだけを追うのではなく、理解が落ちない範囲で段階的に上げていきます。
A:まず「速さ」を目標にするのではなく、熟読の理解度を安定させることから始めましょう。その上で、スキミングで全体像をつかみ、スキャニングで重要箇所を絞り、熟読に集中する流れを作ると、理解を保ちながらスピードを上げやすくなります。
A:本を開く前に「今日は何を得たいか(目的)」を一言で決めるのが効果的です。目的が決まると、スキミング→スキャニング→熟読のどこに力を入れるべきかが見え、読み方が自然に切り替わります。
A:多くの場合、能力の問題ではありません。最初から最後まで全部を熟読しようとすると負荷が高くなり、つらく感じやすくなります。スキミングとスキャニングで読む範囲と深さを整理し、熟読を「ここ」と決めた部分に集中させると負担が減ります。
著者プロフィール

渡辺篤志:「株式会社いろどり」代表 「速読研究会」主宰
100冊以上の速読術・読書術・勉強法を学び、「これなら誰にでも習得できる」という独自のトレーニングメソッドを作り上げ、10年以上に渡り2000名以上に指導。著書に「身につく速読、身につかない速読 ~1冊1時間を目指す、挫折知らずの現実的速読トレーニング~」がある。
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