速読は特殊な能力ではなく、少しトレーニングすることで誰でも身に付けることができる、単純な「スキル」です。もっとも簡単で継続でき、効果が期待できる速読トレーニングとは?
こんにちは、これまで10年間に渡り、速読や読書術、勉強法を研究し自ら実践、教えてきました1day速読講座の渡辺篤志です。
ここでは、私自身が実践し、結果を出してきた速読のトレーニング方法をお伝えします。
速読トレーニングその1「文字をかたまりでとらえる」
速読をマスターする上でとても大切なのが「速読の3要素」です。
1、文字をかたまりでとらえる
2、かたまりを大きくする(視野を広くする)
3、スピードを速くする
この3つの要素をトレーニングすることによって、速読はできるようになります。
1の「文字をかたまりでとらえる」と2の「かたまりを大きくする」は強く関連しています。
多くの人は本を読む時に、2文字~5文字程度のかたまりで文字を捉えています。
速読というのは、端的にいうとそのかたまりを10文字~15文字程度にまで広げて読むことです。
歩くときにも、歩幅が大きい方が速くあるけますよね。
それと同じだと思ってください。
そこでまず、1の「文字をかたまりでとらえる」なのですが、最初は少し感覚がつかみにくいと思います。
そこで、この感覚を身に付ける上で活用できるのが、マンガです。
マンガの吹き出しを一つのかたまりとして見ていくのです。
吹き出しには、それほど多くの文字が書かれているわけではありませんよんね。
1つの吹き出しに多くても5行程度、1行あたり多くても5文字程度です。2文字×2行ぐらいの時もあります。
しかも、基本的に会話で、そんなに難しいことは書かれていません。
よほど多くの文字が書かれていない限り、瞬間的にパッと見るだけで理解できてしまうと思います。
これは、実は速読そのものなのです。
「字を追わないように吹き出し全体を見る」というトレーニングをすることで、速読の要素の1つ、「文字をかたまりでとらえる」という感覚がわかってきます。
マンガである程度感覚がつかめてきたら、実際に本を読んでみましょう。あまり難しい本だとやはり感覚がつかみにくいので、軽いエッセイなど、改行が多く読みやすい本が適しています。
この時に、上から下に視線を流さないように気を付けてください。
句読点を参考に文章を意味のかたまりにわけ、その真ん中付近に視点を置き、かたまり全体を見るようにします。
例えば、すぐ上の文章「句読点を参考に文章を意味のかたまりにわけ、その真ん中付近に視点を置き、かたまり全体を見るようにします」は3つのかたまりに分かれていますが、最初のかたまりの中の「文章を」あたりに視点を置いたまま「句読点を参考に文章をかたまりにわけ」の全体を見るような感じです。
そこから、次の「その真ん中付近に視点を置き」というかたまりの真ん中にある「付近に」あたりに視点を置き、全体を見ていく。
このように、句読点を参考に文章をかたまりに分け、その真ん中から真ん中に視点が移るように見ていくのです。
句読点が無い場合は、10文字程度で、意味のかたまりで自分で分けてください。
最初は、文字数が多いと読み切れないこともありますが、ゆっくりでいいので、1行を3つか4つのかたまりに分けて見ていくというトレーニングをしてみましょう。
速読トレーニングその2「視野を広くする」
文字をかたまりでとらえる感覚がわかってきたら、次に行うのが視野を広げるためのトレーニング。
先ほども書きましたが、普通の人は一度に2文字~5文字程度をひとかたまりでとらえるのですが、それを10文字~15文字ぐらいにまで広げるのです。
と言っても、やり方は「文字をかたまりでとらえる」トレーニングと同じです。
句読点を参考に意味のかたまりで1行を3つか4つに分けて文章を見ていきましょう。慣れてくると自然に視野は広がっていきます。
さらに広げるために、行の最初と最後に意識を置いて1行全部を1本の線のように見ていきます。読む必要はありません。
1行40文字全体を見るトレーニングをしていくことで、視野は確実に広がっていき、15文字程度までなら問題なく読めるようになってきます。
速読トレーニングその3「スピードを速くする」
文字をかたまりでとらえる感覚がつかめ、そのかたまりを大きくすることができるようになったら、最後にスピードを速くしていきます。
この時に大切なのが、自分が理解できるスピードを少し超えたスピードで読み込むこと。
どんな技術でもスポーツでも、トレーニングのキモは「自分の限界を少し超えたところで繰り返し行う」ことです。
速読もまったく同じで、理解の限界を少し超えたスピードで読み込むことによって、理解できるスピードがどんどん上がっていくのです。
しっかり理解できるスピードで読み込んでも、スピードは上がっていきません。
でも、理解できる限界スピードを超えると、理解度が下がったままですよね?
そこで、スピードを速めていきつつ、理解度も深めるための「トレーニングメニュー」を用意しました。
この速読トレーニングを試してみてください。
速読トレーニング
それでは、読書スピードを高めていくための実践的なトレーニング方法をお伝えします。
1、下読み
まず、比較的簡単で読みやすい本を用意してください。1章20~25ページぐらいがいいでしょう。
第1章を、1行3つのかたまりでの視点移動を意識して、自分の理解できるスピードを超えたスピードで一気に読みます。
この時、文章がしっかり読めてしまうと遅すぎ、まったく分からないのでは速すぎます。
かろうじて意味が取れる程度のスピードで読んでください。1ページ12秒、25ページを5分ぐらいのスピード感です。
100メートルを全力ダッシュするような感覚で読むことになるため、5分でもかなりの疲れがあります。
しかし、それこそが脳に適度な負荷をかけている証拠。
1日5分の全力ダッシュ読みでどんどん脳が鍛えられていきます。
2、本番読み
次に、下読みをした第1章を丁寧に読みます。1行3つのかたまりはそのままで、視点の移動スピードを遅くし、しっかり理解できるスピードで。
内容の理解を第一に考えます。
3、仕上げ読み
もう一度第1章の最初に戻り、下読みと同じぐらいか、それ以上のスピードで読みます。
2の本番読みで内容を理解しているので、かなりの高速で読んでも意味が取れると思います。
このトレーニングをすることで、速読の感覚を体に覚えこませるのです。
1~3のトレーニングを1日1章やってみてください。所要時間は20分~30分程度です。
とても単純で簡単ですが、効果は抜群にあります。
これを1冊、2冊、3冊やる頃には、読むスピードは確実に上がっているはずです。
しかも、単調な眼球トレーニングではなく、読みたい本を読むことで読書スピードが上がっていくので、挫折することもありません。
眼球のトレーニングは意味がない
速読のトレーニングというと、目を素早く大きく動かしたりする「眼球のトレーニング」をイメージされる方も多いと思います。
しかし、残念ながら目のトレーニングをいくらやっても速読ができるようにはなりません。
なぜなら、「目を速く動かす」ということと「文字を読んで理解すること」とはまったく別ものだからです。
例えば野球で考えると、走り込みを一生懸命やって足が速くなったとして、「野球がうまくなった」わけではありませんよね?
野球がうまくなるためには、ボールを投げたり取ったり打ったりする練習が必須です。
速読も同じで、高速で「文字を捉えて理解する」練習が必要なのです。
眼球トレーニングは、言わば「準備運動」のようなものだと思ってください。
速読はスポーツと同じ
速読は、特殊な能力と誤解されがちですが、そんなことはありません。
スポーツと同じように、トレーニングをすることで必ず習得できる単純な「スキル」です。
頭で理解し覚えるというよりも、「体得する」というイメージの方が近いかもしれません。
身体で覚えるスキルなので、一度身に付ければ忘れません。
下記のリンクより、速読の基本的な考え方とトレーニング方法をまとめたWEBセミナーを開講しています。